ポーカーゲーム

俺の友人にクーと呼ばれているヤツがいる。
あまり感情を表に出さないが、誰よりも他人を思いやり皆の嫌がることを進んでやるという凄い女だ。

クーは分け隔てなくクラスの男女全員と話をする。俺もその中の一人だ。
しかしこのごろ俺はクーとよく行動をするようになった。その原因はコレだ。

「スリーカード!これは勝っただろ!」
「悪いな、フラッシュだ」

クーの手から見えるのはダイヤのフラッシュ。

「君の顔を見ればそのくらい手が入っていることは判る。だからレイズさせてもらった」
「これで三日連続オゴリか……クーよぉ、ポーカーフェイスすぎんぞ」

原因はポーカー、元々は男仲間とやっていたんだがあまりにクーの押し引きがうますぎるため今では俺とクーだけになってしまった。
賭けるものはその日の昼食、疑似チップが先に10枚たまった方が勝者というルールだ。
そして三日連続敗北。一週間で勝てるのは平均して一日くらい。完全な赤字だ。

「それじゃいこうか。今日は特Aランチを頼もうかな」
「げっ……クー、それは高すぎだ。もう少し下げてくれよ」
「ふむ、今日の特Aランチはデザートにケーキが付くからな。是非とも食べたいのだが……」
「それじゃあのカードで決めようぜ」
「了解した」

俺の言いだしたあのカードとはちょっとしたパーティーグッズの一種で、王様ゲームに使うようなものだ。
トランプのようにマークがついているんだが書いてあるのは数字ではなく言葉。
『肯定』
『否定』
『努力』
『保留』
などいろいろと書いてあり、全部で300枚以上は入っている。
ポーカー好きの俺たちは何か話し合いが起きた時これで決めることにしている。
ランダムに引くんじゃなくて全部のカードからどのくらい意見を通したいかを決めて役を作り、場にだすといったかんじだ。
「んじゃ今回は特Aランチをおごるかどうかだな、それじゃ御題は特Aランチは無理!いくぞ……オープン!」
呼吸を合わせ机にカードを広げる!
「俺は『否定』と『保留』のフルハウス!」
「私は『願い』のストレートフラッシュだ」
圧倒。
「クー、そんなに食いたいか」
「もちろんだ。これは譲れないな」
「くそ……」
言葉では伝えきれない感情の程度、このカードはそれを伝えるにはとても役に立つ。













そして俺はこのカードをクーへの告白に使うことにした。











放課後、少し太陽が沈み始め教室にオレンジ色の光が入るころ。
俺とクーはまだ二人でポーカーを続けていた。
いい手が入ってレイズしようとした時にはドロップされ、手が悪い時にクーにレイズされてドロップするとクーの手はブタ……完全な負けパターンだった。
負けチップが50枚に達し、そこでポーカーは終えることにした。
ここからが本当の勝負だ。
「なぁクー」
「どうした?」
「あと一戦だけ付き合ってくれないか?あっちのカードでさ」
「了解した」
カバンからカードを取り出し、入念に言葉をチェックする。
「それで御題はなんだ?」
「俺と付き合って欲しい」
「……」
「真剣勝負で頼むぜ。もちろんうらみっこなしだ」
「わかった」
「それじゃ行くぜ……オープン!」
俺の手は『願い』のフォーカード。これに勝つにはもうロイヤルストレートフラッシュしか残っていない。ほんの少しでも俺と付き合う事を嫌がってなければロイヤルストレートフラッシュは出してこないだろう。ずるいかもしれないがそれでも俺はクーが好きなんだ。
「『願い』のフォーカードだ……」
じっと自分のカードを見つめる、クーの役は……
「ロイヤルストレートフラッシュ、だ」
だめか。やはりクーはしっかりしてるな。少しの隙も残さなかったか。
「……どうした。ちゃんと私の役をみないか」
OK了解だ。最後までちゃんと見届けるのが勝負士としてのケジメだ。潔く散ってやろうじゃないか。
「……え?」
「どうした?何処をどう見てもロイヤルストレートフラッシュだろう?」
思わず俺は笑ってしまっていた。完全な負けだ。おそらく一生かかっても俺がクーにポーカーで勝ち越す事はないだろう。何故ならクーの役は……





















『あ』『い』『し』『て』『る』




























〜後日〜

「なぁクー、あんなカード入ってなかったろ?何処で手に入れたんだ?」
「あれはブランクカードに自分で書き込んだ物だ。いずれキミ相手に使おうと思ってな」
「ちっ、ブランクカードとかずりーよ!」
「安心しろ。キミ以外に使うつもりはないからな」

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